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ISO 27001導入チェックリスト

ByDejan Kosutic on January 24, 2011

あなたがISO 27001の導入を始めた方は、おそらく導入を簡単にする方法を探しているでしょう。 がっかりさせるて申し訳ありませんが、簡単な方法はありません。 でも、作業を簡単にするお手伝いをさせてください。以下は、ISO 27001認証を取得したいときに、通過しなければならない16の手順の一覧です。

1. 経営陣の支援を得る

これは当たり前に思えるので、通常あまり真剣には受け取られません。 けれども私の経験では、経営陣がプロジェクトに十分な人材や資金を提供しないことこそが、ISO 27001プロジェクトが失敗する一番の原因なのです。(このような事態を経営陣に示す方法についてはISO 27001導入の主な4つの利点」を参照してください。)

2. プロジェクトとして扱う

ISO 27001導入は、すでに述べたように、さまざまな活動やたくさんの人々が関わり、数カ月(もしくは1年以上)の年月を費やす複雑な問題です。なすべき事・なすべき人・時間枠を明確に定義(つまりプロジェクト管理を適用)しなければ、仕事は永遠に終わりません。

3. 適用範囲を定義する

大規模な組織の場合には、おそらく、組織の一部でだけISO 27001を導入することにより、プロジェクト・リスクを低下させるのが賢明でしょう。(ISO 27001で適用範囲を定義する際の問題

4. ISMSの基本方針を書く

ISMSの基本方針は、ISMSの中でも最も上位にある文書です。基本方針は細かすぎてはいけませんが、組織の情報セキュリティにおける基本的な問題の一部を定義する必要があります。そういう大雑把な方針の目的はなんでしょうか。それは、経営陣が実現したい事やそれを管理する方法を定義することです。 (情報セキュリティ基本方針-どの程度詳しくするべきか

5. リスクアセスメントの方法論を定義する

リスクアセスメントは、ISO 27001プロジェクトの中でも最も複雑な仕事です。そのポイントは、資産・ぜい弱性・脅威・影響・確率を特定するためのルールを定義すること、および、許容できるリスクのレベルを定義することです。このルールをはっきり定義しておかないと、せっかく出た結果が使えない、というような状況に陥る可能性があります。(中小企業におけるリスクアセスメントの要領」を参照)

6. リスクアセスメントやリスク対応を実施する

ここでは、前の段階で定義したものを実施する必要があります。大規模な組織ではこれに数ヶ月単位の時間がかかる可能性があるので、慎重に協力して努力する必要があります。 ポイントは、組織の情報に関する危険の全体像を得ることです。

リスク対応プロセスの目的は、許容できないリスクを減らすことです。これは通常、附属書Aの管理策の利用を計画することにより実現されます。

この手順では、リスクアセスメントおよびリスク対応プロセスの際に行われたあらゆる手順を記述した、リスクアセスメント報告を書く必要があります。 また、適用宣言書の一部または別個の文書として、残留リスクの承認を得る必要があります。

7. 適用宣言書を書く

リスク対応プロセスが済めば、附属書のどの管理策が必要なのかを正確に理解できているはずです(管理策は133個ありますが、おそらくこのすべてが必要ということはないでしょう)。この文書(しばしばSoAと呼ばれる)の目的は、全管理策を列挙して、該当するものとしないもの、その決断の理由、その管理策で実現したい目標、その管理策の実施方法の記述などを定義することです。

また、適用宣言書は、経営陣からISMS導入の承認を得る際に最も適した文書です。

8. リスク対応計画を書く

リスク関連文書はすべて済んだと思ったら、まだありました。リスク対応計画の目的は、SoAの管理策を導入する方法、担当する人、導入する時期、その予算などを厳密に定義することです。 この文書は実際の管理策を意識した導入計画なので、これなしでは、それ以上プロジェクトを先に進めることはできないでしょう。

9. 管理策の有効性を測定する方法を定義する

これも過小評価されがちな作業です。 ここでのポイントは、実行結果を測定できなければ、目標が達成されたかどうかを保証できない、ということです。したがって、ISMS全体および適用宣言書の該当する各管理策の両方に対して設定した目標の、達成を測定する方法を定義するようにしてください。

10. 管理策および必須の手順を実施する

これは「言うは易し行うは難し」です。ここでは、必須とされる4手順、および、附属書Aの該当する管理策を実施する必要があります。

これは通常、プロジェクトの中でも最も危険な仕事になります。なぜなら、これは通常、新しい技術の適用、とりわけ、組織への新しい活動の導入を意味するからです。 多くの場合、新しい方針や手順が必要(つまり変化が必要)であり、人間は変化に抵抗するのが普通です。これこそが、リスクを回避するために次の作業(訓練・意識向上)が重要な理由です。

11. 訓練および意識向上プログラムの実施

職員に新しい方針や手順を導入させたいときには、まずその必要性を説明し、それを期待通り実行できるように職員を訓練する必要があります。このような活動の欠如は、ISO 27001プロジェクト失敗の2番目に多い理由です。

12. ISMSを運営する

ここで、ISO 27001は組織の日常業務になります。 ここでのキーワードは「記録」です。 審査員は記録が大好きです。記録なければ、特定の活動が実際に行われたことを立証するのは極めて難しいという事に気づくでしょう。 でも、記録はまず自分自身の役にも立つはずです。記録を使えば、実際に起きている事を監視することができます。あなたは、従業員(および供給者)が作業を要求どおり実行しているかどうかを、確実に知ることができるでしょう。

13. ISMSを監視する

ISMSでは何が起きているでしょうか。 インシデントの発生回数や種類は。あらゆる手順が適切に実行されているでしょうか。

ここが、管理策と測定方法論の目標が一致するところであり、出た結果が設定した目標を達成しているかどうかを検査する必要があります。 達成できていなければ、何かが間違っているはずなので、是正処置や予防処置を実行する必要があります。

14. 内部監査

人間は、自分のしていることが間違っていることに気づかない(また気づいていても、他人には知られたくない)ことが珍しくありません。 けれども、既存の問題や潜在的な問題に気づかないと、組織に害を与える可能性があります。そのような事態を発見するには、内部監査を実施する必要があります。ここでのポイントは、懲戒処分ではなく、是正処置や予防処置をとることです。( ISO 27001およびBS 25999-2内部監査員のジレンマ」を参照)

15. マネジメントレビュー

経営陣は、ファイアウォールを直接設定する必要はありませんが、ISMSで起こっている事、つまり、全員が任務を遂行しているか、あるいは、ISMSが望ましい結果を実現しているかを知る必要があります。 経営陣はそれに基づいて、重要な意思決定を行う必要があります。

16. 是正処置および予防処置

マネジメントシステムの目的は、間違った事(いわゆる「不適合」)のすべての是正・予防を保証することです。したがって、ISO 27001では是正処置・予防処置を体系的に実施することを求めています。つまり、不適合の根本原因を特定して、解決・検証する必要があるということです。

この記事により、やるべきことがはっきりすれば幸いです。ISO 27001は簡単な作業ではありませんが、必ずしも複雑ではありません。 必要なのは、各手順を慎重に計画することだけです。そうすれば認証を取得できるのでご安心ください。

をクリックすれば、以上の全手順を示したISO 27001導入プロセスの図を、必要な文書と共にダウンロードすることができます。


ISO 27001附属書Aの管理策

ByDejan Kosutic on January 24, 2011

ISO 27001の附属書Aは、おそらく、あらゆるマネジメント規格の中でもっともよく言及される附属書でしょう。なぜこの附属書がそんなに話題になるのでしょうか。なぜ時に議論の対象になるのでしょうか。

附属書Aを読んだことがあれば、133個のセキュリティ管理策が列挙されているのをご存知でしょう。では、規格本編は何に使われるのでしょうか。

目的

附属書Aには、以下のような箇条(ISO 27001附属書Aドメインと呼ばれることもあります)が含まれています。

  • A.5 セキュリティ基本方針
  • A.6 情報セキュリティのための組織
  • A.7 資産の管理
  • A.8 人的資源のセキュリティ
  • A.9 物理的及び環境的セキュリティ
  • A.10 通信及び運用管理
  • A.11 アクセス制御
  • A.12 情報システムの取得、開発及び保守
  • A.13 情報セキュリティインシデントの管理
  • A.14 事業継続管理
  • A.15 順守

すでに言及したように、附属書Aには133個の管理策が含まれています。この管理策は、箇条の名前から分かるように、ITだけを対象としているわけではありません。物理的セキュリティ・法的保護・人事管理・組織的問題なども扱っています。

したがって、附属書Aは、対応プロセスの際に使われるセキュリティ方策のカタログと見なすことができます。附属書Aは、リスクアセスメントによる許容できないリスクの特定が済んだときに、そのリスクを減らすための適切な管理策を選ぶために役に立ちます。 そして、重要な管理策を見落とさないことを保証してくれます。

附属書Aは、 ISO 27001ISO 27002の接点です。ISO 27002の管理策には、ISO 27001の附属書Aの管理策と同じ名前がついています。違うのはその細かさです。ISO 27001に記載されているのは管理策の簡単な定義だけですが、ISO 27002には管理策を導入する方法に関する詳しいガイドラインが記載されています。

欠点

ここまで読んで、附属書Aを情報セキュリティ・プロジェクトの完全な導入ツールだと思った方も、楽観的になりすぎてはいけません。附属書Aには、おかしなところもあります。 たとえば、A.9.2.6(装置の安全な処分又は再利用)とA.10.7.2(媒体の処分)のように、ほとんど同じ問題を定義した管理策もあり、混乱を招くことがあります。 逆に、第三者との関係のような一部の問題は、附属書Aのいろんな箇条に散らばっており、箇条A.6.2(外部組織)、A.8(人的資源のセキュリティ)、A.10.2(第三者が提供するサービスの管理)、および、管理策A.12.5.5(外部委託によるソフトウェア開発)などに記載されています。このことが、附属書Aを導入ツールとして使うことを困難にすることもあります。

しかし、曖昧なのはこれだけではありません。附属書Aで方針や手順に言及しているのに、文書化を要求していない管理策もあります。 おかしいと思うかもしれませんが、規格で文書化を要求しているのは、「文書化」という言葉があるところだけです。 附属書全体を分析してみると、「文書化」という言葉に言及している管理策は6個(A.5.1.1A.7.1.3A.8.1.1A.10.1.1A.11.1.1A.15.1.1)だけです。つまり、これ以外の管理策は文書化しなくても導入できるということです。

けれども、附属書Aのこの柔軟性を濫用すべきではありません。組織が大規模になるほど、セキュリティ手順が全員に認知されることを確実にするため、より多くの文書を作成する必要があります。 一方で、文書化しすぎないように注意する必要もあります。文書が多すぎれば、誰も順守しなくなりますから。

ISO 27001本編との関係

規格の本編、より正確に言えば必須箇条の48には、この規格のマネジメント部分が含まれています。ここでは、リスクアセスメントおよび対応、文書管理、記録管理、経営資源の提供、内部監査、マネジメントレビュー、是正処置・予防処置などを含む、PDCAサイクル(計画-実行-点検-処置フェーズ)を規定しています。

先に述べたように、リスクアセスメントおよび対応プロセスは、箇条48が附属書Aの管理策に最も関係するところです。この部分は、附属書Aの各管理策が、リスクを減らすために必要かどうかを決めるのに役立ちます。

つまり、箇条48と附属書Aは、それぞれ単独では成り立たないということです。リスクアセスメントはリスクを減らすための管理策がなければ無意味ですし、管理策の適用可能性を判定する唯一の方法はリスクアセスメントですから。

私の考えでは、このリスクの重視と、自分が適切だと考えるところにセキュリティ管理策を適用する柔軟性が、ISO 27001の最もよいところです。その恩恵を全面的に受けるためには、慎重になるしかありません。

また、弊社のウェビナーISO 27001 Foundations Part 3: Annex A overview(市販トレーニング)もご利用ください。


ISO 27001対ISO 27002

ByDejan Kosutic on January 18, 2011

ISO 27001とISO 27002の両方を読むと、おそらく、ISO 27002の方がはるかに詳細かつ厳密であることに気づくでしょう。ではISO 27001は何のためにあるのでしょうか。

まず、ISO 27002はマネジメント規格ではないので、認証を受けることはできません。ではマネジメント規格とは何なのでしょうか。 マネジメント規格とはシステムの運営方法を定義する規格です。ISO 27001の場合、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を定義しているので、ISO 27001に対する認証が可能なのです。

情報セキュリティマネジメントシステムでは、情報セキュリティを計画・導入・監視・レビュー・改善する必要があります。ISMSでは、経営陣が明瞭な責任を持ち、目標を設定・測定・レビューし、内部監査を実施する必要があります。このような要素はすべて、ISO 27002ではなく、ISO 27001で定義されます。

ISO 27002の管理策は、ISO 27001の[link]附属書Aの管理策と同じ名前になっています。たとえば、ISO 27002の管理策6.1.6は「関係当局との連絡」という名前ですが、ISO 27001のA.6.1.6も「関係当局との連絡」です。 けれども、違うのはその細かさです。平均すると、ISO 27002では一つの管理策を一ページ全体で説明していますが、ISO 27001では各管理策に一行しか割り当てていません。

最後の違いは、ISO 27002では、特定の組織にのみ当てはまる管理策とそうでない管理策を区別していないことです。一方、ISO 27001では、各管理策がリスクを減らすために必要かどうか、そして、必要な場合にはどの範囲に適用すべきかを特定するために、実施すべきリスクアセスメントを規定しています。

問題は、 なぜ2つの規格が別々に存在するのか、なぜ両者のいい処だけを取って1つの規格にまとめないのか、ということです。 その答えは使い易さです。もし単一の規格だったら、大量すぎ複雑すぎて実用にならないでしょう。

ISO 27000シリーズの規格は、それぞれ特定のテーマで設計されています。組織の情報セキュリティの基礎を構築して、そのフレームワークを考案したい場合には、ISO 27001を利用すべきだし、管理策を導入したい場合には、ISO 27002を利用すべきだし、リスクアセスメントやリスク対応を実施したい場合には、ISO 27005などを利用すべきです。

結論としては、ISO 27002に記載された詳細がなければ、ISO 27001の附属書Aで定義された管理策は導入できないと言えるでしょう。けれども、ISO 27001の管理フレームワークがないと、ISO 27002は、情報セキュリティに熱心な人の孤独な努力に過ぎず、首脳部からの承認も受けられなければ、実際の組織に影響を与えることもないでしょう。

また、弊社のウェビナーISO 27001 Foundations Part 3: Annex A overview(市販トレーニング)もご利用ください。